トマトの葉かび病の症状・原因・対処法|施設栽培で多発するカビ病を見分けて防除する
トマト栽培で「葉の表面に黄色い斑点が出て、裏側を見るとカビが生えている」という症状が出たことはありませんか。これはトマトの葉かび病(トマト葉かび病菌)の典型的な症状です。
葉かび病は施設栽培のトマトで特に多発する病害で、換気不良・高湿度の環境下で急激に広がります。病原菌には複数のレース(系統)が存在し、品種耐性を打破するレースの出現が防除を難しくする場合もあります。
この記事では、葉かび病の症状の特徴から発生原因・具体的な防除法まで現場目線で解説します。

葉かび病の症状と見分け方
典型的な症状パターン
葉かび病はCladosporium fulvum(現Passalora fulva)が引き起こす糸状菌病害です。
- 葉表面に黄色い斑点:下位葉から始まり、葉の表面に淡黄色〜黄色の斑点が現れる
- 葉裏の褐紫色菌叢:斑点に対応する葉裏に褐色〜紫褐色のビロード状の菌叢が生じる
- 葉縁から萎れ:発病が進むと葉全体が黄化・萎縮する
- 上位葉への拡大:初期は下位葉に発病し、放置すると上位葉に拡大する
- 落葉・株の衰弱:重症化すると葉が落ちて株全体が弱る
他の病害との見分け方
- 灰色かび病との違い:灰色かび病は灰色の粉状カビが出るのに対し、葉かび病は葉裏に褐紫色の菌叢
- べと病との違い:べと病は葉裏に白色〜淡紫色の菌叢が出る一方、葉かび病はより褐色の菌叢
- マグネシウム欠乏との違い:Mg欠乏は葉脈間黄化で菌叢を伴わないのに対し、葉かび病は菌叢を伴う
発生しやすい条件
- 施設内の高湿度:湿度80〜90%以上が続く環境で多発する
- 換気不足・密植:葉と葉が重なり、乾燥しにくい栽培環境
- 低温時の施設栽培:秋〜春にかけての低温期のハウス内
- 罹病品種の栽培:葉かび病抵抗性のない品種での栽培

葉かび病が発生する主な原因
病原菌の特性と感染経路
葉かび病菌は分生子(胞子)による空気伝染が主な感染経路です。前作の罹病残渣や施設の壁・資材に付着した胞子が越冬・越夏し、翌作に感染します。発芽・感染には高湿度が必須で、葉面に水分が残る環境で感染リスクが高まります。
発病を助長する管理要因
- 換気管理の不徹底:湿度が高い状態が長時間続く施設内環境
- 密植による通風悪化:葉が重なって乾燥しにくい状態
- 窒素過多:軟弱な組織が形成され感染しやすくなる
- 施設の汚染:前作の残渣・施設骨材に付着した菌糸の残存
効果的な防除法と改善策
発病確認後の対処
罹病葉の早期除去 発病した葉はビニール袋に収めながら丁寧に除去し、圃場外で処分します。除去の際は胞子の飛散を最小限にするため、作業は静かに・袋をかぶせてから切除するのが効果的です。
農薬防除 葉かび病の防除には適用登録のある農薬を使用します。菌のレースによって耐性が生じることがあるため、複数の作用機作を持つ薬剤のローテーション散布を行います。
主な登録薬剤(使用前に最新の農薬適用情報を確認してください):
- ダコニール1000:広スペクトル殺菌剤、予防効果が高い
- アフェットフロアブル:SDHI系殺菌剤、効果が長続きする
- カンタスドライフロアブル:ポリオキシン系、植物体に優しい
環境調整による防除
- 換気強化:側窓・天窓・循環扇を活用して湿度80%以下に維持
- 朝かん水:夕方までに葉面を乾燥させるタイミングでかん水
- 整枝・誘引:適正な葉数を維持し通風を確保する
- 施設の消毒:作期終了後に施設内を殺菌剤で消毒して感染源を減らす

予防と栽培管理のポイント
耐病性品種の選択
葉かび病抵抗性を持つ品種を選択することが根本的な予防策です。ただし、新たなレースの出現によって抵抗性が打破される場合があるため、抵抗性品種の使用と化学防除の組み合わせが重要です。
予防的農薬散布
発病リスクが高まる時期(低温多湿時・下位葉に黄斑が出始めた初期)に予防散布を実施します。発病が確認されてからでは拡大を抑えるのに時間がかかるため、予防が基本です。
農業資材・農薬の選択については以下も参考にしてください。
まとめ
トマトの葉かび病は、葉裏の褐紫色のビロード状菌叢で判別できます。施設栽培での多発病害のため、換気管理と予防的農薬散布が防除の柱です。
耐性菌対策としてローテーション散布を実践し、罹病葉は早期に除去して感染拡大を防ぐことが被害最小化の鍵です。