
アザミウマの特徴と見分け方
アザミウマ(スリップス)は体長0.5〜2mmの細長い微小昆虫です。ピーマンではミナミキイロアザミウマとミカンキイロアザミウマが主要な加害種です。花や若葉・果実に寄生して組織を傷つけながら吸汁します。被害を受けた果実はシルバー色に変色し、コルク化した傷跡が残って商品価値が著しく低下します。葉では銀灰色のかすり状被害が現れます。アザミウマはトスポウイルス(TSWV・IMPaTIENS NECROTIC SPOT VIRUS)の媒介者でもあり、ウイルス感染による壊疽症状も引き起こします。花の内部に潜り込む習性があるため発見が遅れがちです。

発生しやすい条件と時期
アザミウマは高温乾燥(気温25〜30℃)の条件で急増します。施設栽培の夏季・秋季に被害が集中します。開花期は花に集まるため特に被害が深刻になります。防虫ネットの目合いが粗い(0.8mm以上)と侵入を防ぎきれません。圃場周辺のイネ科雑草や花粉が多い植物はアザミウマの増殖場所になるため、除草管理が重要です。また有翅成虫は飛来侵入するため、外部からの侵入防止対策が必要です。5〜11月の長い期間にわたって発生するため、継続的な防除体系が求められます。
農薬による防除方法
アザミウマは花の内部や葉組織の深部に潜り込むため、浸透移行性または蒸気圧の高い殺虫剤が有効です。ディアナSC(スピネトラム)はスピノシン系の殺虫剤で、アザミウマに対して高い効果を示し、接触毒と摂食毒の両方の作用があります。プレオフロアブル(ビフェナゼート)はダニへの効果に加えてアザミウマにも有効で、花への散布も対応しています。スピノエース顆粒水和剤(スピノサド)は天然由来成分(放線菌)を有効成分とし、有機栽培にも利用できるスピノシン系殺虫剤です。アプロードフロアブル(ブプロフェジン)は幼虫の脱皮阻害作用で防除効果を発揮します。系統を変えた輪番使用が薬剤抵抗性防止に不可欠です。

予防と環境整備
防虫ネット(0.4mm目合い以下)の展張は最も効果的な物理的防除手段です。青色粘着トラップはアザミウマを誘引・捕殺する効果があり、発生モニタリングにも活用できます。開花期前の予防散布がウイルス媒介防止に効果的です。圃場周辺の雑草(特にイネ科)を徹底管理して増殖場所を断ちましょう。天敵(スワルスキーカブリダニ・タイリクヒメハナカメムシ)は施設栽培での生物的防除として有効です。ピーマン定植時は苗にアザミウマが寄生していないことを確認してください。
薬剤散布時の注意事項
アザミウマへの散布は花の内部まで薬液が到達するよう、丁寧に散布することが重要です。散布は早朝(花が開く前)が最も効果的なタイミングです。農薬ラベルの使用基準(散布回数・収穫前日数)を厳守してください。スピノシン系(ディアナ・スピノエース)は系統が同じため、両剤の連続使用は抵抗性回避にはなりません。必ず系統を変えた輪番体系を組んでください。
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キャベツの害虫防除全般についてはキャベツの殺虫剤ガイドを参照してください。害虫と病害が複合している場合はキャベツのべと病の症状・原因・対処法もご覧ください。
ピーマン栽培でのアザミウマ防除には記録と継続的な観察が重要です。青色粘着トラップで捕捉数を週単位で記録し、捕捉数が増加傾向にあれば早めに薬剤防除を行うことで被害を最小限に抑えることができます。収穫前日数を守った計画的な散布スケジュールを事前に組んでおくことが安全で効果的な防除につながります。